1955年、スウェーデンを代表する家具デザイナー Yngve Ekström/イングヴ・エクストロームによってデザインされたキャビネット「Krus」。
スウェーデンの家具メーカーAB Westbergs Möbler製のヴィンテージアイテムです。
北欧家具らしい端正な佇まいと、思わず見入ってしまう芸術性を兼ね備えた一台です。

This furniture enriches your daily life just a little bit while seamlessly blending into your routine.
1913年、スウェーデン生まれの家具デザイナー Yngve Ekström。
1945年に兄弟のJerker Ekströmらとともに家具メーカー「ESE-möbler」を設立し、後の「Swedese」へと発展しました。
1956年に発表したラウンジチェア「Lamino」は、20世紀を代表するスウェーデン家具として現在も高く評価され続けています。
木の温もりを活かしながら、機能性と美しさを兼ね備えた作品は、世界各国の美術館にも収蔵されています。
何と言っても特徴的なのは、下段扉に施された美しいレリーフ。
抽象的にデザインされたモチーフは、ポットや花瓶、器、ピッチャーなど、暮らしを彩る道具たち。
もしかすると、このキャビネットに収納されるものそのものを意匠として表現したのかもしれません。
どこか愛嬌があり、お鍋のモチーフはまるで可愛らしい表情のようにも見えてきます。
家具でありながら、一枚のアート作品のような存在感を放っています。
全体のフォルムはあくまでシンプルで直線的。
だからこそ細部の造形が際立ちます。
上下段の天板や側板に刻まれた繊細な溝のディテール。
わずかな陰影が家具全体に奥行きと品格を与え、まるで建築のような美しいリズムを生み出しています。

もうひとつ印象的なのが、台輪正面に貼られたブラックレザー。
チーク材の温かみある色合いをきりっと引き締め、全体に程よい緊張感を与えています。
家具にレザーを取り入れる発想は非常に珍しく、このキャビネットならではの大きな魅力。
実用面では、足元の傷や汚れが目立ちにくいという役割も兼ねていたのかもしれません。
機能と美しさを自然に融合させる北欧デザインらしい工夫が感じられます。





















"Krus"とはスウェーデン語で、小さな水差しやピッチャー、壺、マグカップなど、陶器やガラス製の器を意味する言葉。
もちろん偶然ですが、日本語で「Krus」はどこか"暮らす"という言葉にも重なって聞こえます。
