Walter Bosse Cat Miniature Figurine/ウォルター・ボッセ 黒猫の小さなフィギュリン

A small art piece that offers a glimpse of the artist's rich plasticity.

ウィーン応用美術大学で陶芸と装飾を学び、若くしてウィーン工房（Wiener Werkstätte）で才能を認められました。
はじめは陶器作品を手がけていたボッセですが、1940年代初頭、造形パートナーとしてHerta Baller（ヘルタ・バラー）が加わったことを機に、素材を真鍮に切り替え、「Black Golden Line」と呼ばれる新たなスタイルを確立します。

この手法は、真鍮に黒い塗装を施し、一部を磨いて黒と金のコントラストを際立たせるという独自のもの。
そのユニークな造形とチャーミングな表情が人気を集めた一方で、署名やスタンプがない作品も多く、現在では数多くのコピー品や類似品が市場に出回っており、真贋の見極めが非常に難しいシリーズとしても知られています。

こちらのちいさな黒猫にはモデル番号「5221」が刻まれています。
特徴的なのは、ゴールドの磨き出しを施さない、オールブラック仕上げという点。
マットな黒の質感が、かえってこの小さな猫の凜としたフォルムの美しさを際立たせています。

足裏には「BOSSE AUSTRIA」の刻印入り。
現在も「BOSSE AUSTRIA」から販売されているモデルの可能性もありますが、先述通り、ボッセのアイテムは判別が難しいものが多いため、こちらも年代等の詳細は不明です。
オールブラック仕上げという点やモデル番号が刻まれているという点でも、珍しいものではないかと推測されます。
また、首元に巻かれた飾りはおそらく、前オーナーの方が巻いたものではないかと思われます。

ハリネズミだけでは語れない、ボッセの豊かな造形力。
この猫は、その片鱗をそっと教えてくれるような、小さな小さなアートピースです。
窓辺の棚や書斎の片隅、ベッドサイドのちいさなスペースに。
視界の端にふと現れて、静かに微笑むような存在感は、日々の空間にそっと“余白”を生んでくれるはずです♪