Scandinavian Vintage Pinewood High Stool/北欧ヴィンテージ ハイスツール パイン材

Scandinavian Design

ヴィンテージ家具には、「名前もデザイナーもわからないのに、どうしようもなく惹かれてしまう」、そんな不思議な魅力を持つものが時折あります。
このスツールもまさにそのひとつ。
デンマークから届いたものですが、どこかフィンランド的な素朴さも漂い、あるいはフランスのデザイナー、シャルロット・ペリアンの作品と言われても、なんとなく頷いてしまいそうな雰囲気をまとっています。

素材はパイン材。
節や木目がしっかりと浮かび上がるその表情は、チークやローズウッドとはまた違う、素朴であたたかみのある存在感を空間に与えてくれます。
年月と共に深まった木肌には傷やペイントの跡も残っており、それがむしろ“味”となって、このスツールが歩んできた時間をそっと語りかけているよう。

It possesses an unconventional freedom and an unadorned, essential charm.

最大の特徴は、座面の中央にぽっかりと空いた丸い穴。
まるでドーナツのようなこのデザインは、見た目の愛嬌だけでなく、実用性も兼ね備えています。
穴に指をかけて片手で持ち上げて、必要な場所へ気軽に持っていける軽やかさは、日常の使い勝手の良さへと直結しています。

脚は安定感があり、四方を支える貫が構造をしっかりと補強しています。
すらりとしたシルエットのなかに、用の美が宿るバランスのよさ。
どこか建築的な印象すらあり、無駄な装飾を削ぎ落としたミニマルな佇まいは、時代や空間を選ばず自然と馴染みます。

脚部は座面の縁を貫通するように組まれているのも面白いポイントのひとつ。
脚の先端がさりげないアクセントとなって、全体の造形に“つくりの面白さ”を添えています。
家具としての機能美と、木工技術の美しさがひとつになったような、手仕事らしい味わいが感じられます。
高さのあるハイスツールなので、キッチンやカウンターまわりの椅子としてはもちろん、植物を飾るスタンドや、ランプや本を置くサイドテーブル代わりとして使うのもおすすめです。

裏面にはなにやらサインのような刻印が残っており、その正体は定かではありません。
けれど、それもまたこのスツールが“匿名の美”を体現している証。
名の知れたデザイナーやブランドの作品ではないかもしれませんが、それゆえに、型にはまらない自由さと、飾らない本質的な魅力が感じられます。

時代も国も、デザインの出自すらも超えて、「ただ、そこにあるだけで心が惹かれる」。
そんな感覚こそが、ヴィンテージの面白さの本質なのかもしれません。
このスツールはまさにその象徴のような存在。
名を持たぬ一脚でありながら、空間にユニークであたたかい物語を添えてくれる一品です♪

Detailed Condition

古い塗装や汚れの洗浄、サンディングの後、ワックス塗布を行いました。
ヴィンテージ品のため、経年や使用に伴う傷や細かな擦れ、小さな打痕、汚れなどがございますが、大きなダメージはございせん。