木と木とが自然につながっているかのような処理は、確かな木工技術があってこそ。
複雑な角度で組まれたフレームを違和感なく収めるのは容易なことではなく、デザインと構造の両立に挑んだ職人の意地と技を感じます。

さらに興味深いのは、この椅子にデザイナーやメーカーの確証が残されていないこと。
名前のわからない家具というのは、時に人をより強く惹きつけるもの。
名のあるデザイナーが生んだ傑作かもしれないし、無名の工房が挑戦的に仕上げた一点かもしれない。
その“謎多き一脚”という存在感こそ、この椅子をさらに特別なものにしているのかもしれません。
実際の暮らしに取り入れると、ダイニングチェアとしてはもちろん、ワークチェアや書斎の一角にもしっくりと馴染みます。
デザインが強いからこそ、ひとつ置くだけで空間の印象を引き締めてくれる存在感。
例えば窓辺に一脚だけ置いて、観葉植物やスタンドライトと合わせれば、まるで小さなギャラリーのような雰囲気を演出してくれるでしょう。
北欧デザインが持つ「機能と美の同居」を体現した一脚は、実用性とともに視覚的な楽しみをもたらしてくれるはずです。


















